あっという間の一年間でした。
フランスでの生活や美容室での仕事は、正直苦難の連続でした。
一番は言葉の壁。
全くフランス語ができない状態でスタートし、
思う様にコミニュケーションが取れず言いたい事も言えない。
言葉がわからないので通訳してもらわないとお客とカウンセリング出来ないので
片岡さんやフロントさんの力を借りっぱなしでした。
次に技術。
自分が想像していた物とは全く違いました。
日本での仕事の仕方とは違い、専門職というのが徹底されており
スタイリストはカットのみ、
カラーリストはカラー、パーマの技術のみ。
パーマの需要はヨーロッパは少ないそうです。
パーマをかけに来るお客様は一ヶ月に1人か2人と聞き驚きました。
何故こんなにパーマが少ないかと言うと、日本人の髪質と違い細くて猫っ毛、毛量はかなり多くクセが強くボリュームが元々あるので必要ない人や、
ブリーチをしてブロンドに染めているのでパーマはかける事ができない人などが多いからです。
カラーリングにおいても日本の繊細なテクニックや細やかな技術はフランス人に喜ばれると思っていましたが、
実際は全く通用しませんでした。
自分はこれまでアジア人の髪質しか把握できていなかったのです。
カラーリストのヴァニダは様々な人種の髪質を熟知していてブロンドに染めるテクニックをブリーチ剤を使用して技法を変えるだけで仕上がりの色をコントロールしていました。
(ただし、アジア人の髪質を綺麗なブロンドにする事は、とても難しいそうです。)
いつも間近で技術を見る事ができとても勉強になりました。
フランスでの生活は、、
決して楽なものではありませんでした。
初めは不便さを感じ生活になかなか慣れる事ができませんでした。
東京で暮らしていると日常の便利な生活になれてしまっていて、それが当たり前だと思って過ごしていました。
しかしフランスでは日本の様に消費者の為の『完璧に行き届いた接客サービス』があまりありません。
日曜日ともなれば殆どのサービスはストップ、スーパーも午後には閉店。
娯楽は自分で見つけて過ごすしかありませんでした。
いかに日本は便利な国か、暮らしやすい国か改めて気付くことができました。
サロンワークはというと、
本店のスタッフはみんなベテランです。
自分より20〜30年以上もキャリアを持っている方ばかりです。
それぞれの分野でスペシャリストが熟練の技術をもっており
『1年間の研修期間でカラーを完璧にマスターして帰ろう!』
なんて甘い考えは見事に打ち砕かれ自分は足元にも及ばない状態でした。
職人の世界のキャリアとは長年の経験と知識と感覚。
僕が生まれる前から技術者で今も現役でハサミを持つスタッフも中にはいます。
その磨き上げられた一流の技術を愛して止まない多くのお客様達が通うパリ店は
フランスやヨーロッパの雑誌に作品がたびたび紹介されるほどです。
スタッフ一人一人がプロ意識を高く持っていて、アシスタントのレベルもかなり高く感じました。
カラーリストアシスタントとして働かせてもらいましたが、洗濯や雑用の仕事をしていると、自分が技術者になってから忘れかけていた事に多く気づかされ反省しました。
同時に自分の技術の未熟さにも気づかされ、これからの自分にとっての課題が明確に
見えてきました。
初心に戻り自分の置かれている環境や周りの人に感謝をして、
妥協せず常に学ぶ姿勢を持ち続け努力する事を忘れずにいようと思います。
最後に今回の研修でお世話になった本社の方々、
パリ店の片岡社長、
本当にお世話になりました。
ありがとうございました。
藤澤 健次郎